いい文章とリズムの関係性
「いい文章」の正体はなんだろうと考えていてふと気づいたことは、「いい文章」は「リズムがいい」ということでした。
「いい文章」の条件はさまざまですが、「リズム」が関係していることは間違いなさそうです。
これは、文章は誰のため、何のために存在するのかを考えてみると理解しやすいかもしれません。
そう、文章は読者のため、伝えたいことを伝えるためにあるものですよね。
読者に気持ちよく、心地よく読んでもらい、伝えたいことが伝わるようにするためには、いいリズムが欠かせません。
ウェブサイト制作においても、文章は重要な要素のひとつです。
代表のごあいさつやサービス紹介、採用メッセージなど。
ユーザーの心を動かす、行動を促す文章でなければ意味がありません。
今回はそんな文章のリズムについてお話をしてみようと思います。
文章のリズムの正体を知る
文章におけるいいリズムとは、句読点の位置に違和感がなかったり、一文の長さが長すぎなかったりなど、一般的には読みやすい文章だといえます。
なかでも、読点(、)は「息継ぎ」にたとえられ、読点がない文字の連なりを読んでいて息苦しいと感じたことは、みなさんも一度は経験があるのではないでしょうか。
音楽でたとえるなら、それこそ息継ぎなしで、ずっと歌を唄っている曲を聴かされるようなもの。
Aメロ→Bメロ→サビまでを止まることなく唄い続けているような感じ。
これでは歌い手も聴き手もヘロヘロになって疲れてしまいますよね。
文章も同じで、適度に息継ぎできるポイントが必要です。
このように、読点は息継ぎのために必要なのですが、読点の打ち方に関しては明確な正解がなく、読点の位置が適切かどうかは読み手の感覚に左右されます。
つまり、読点をどこにどう打てばいいかは自分で書いた文章を音読して、文の流れに違和感がないかを確認するしかないのです。
書き手によっては読点の多い人と少ない人に分かれることもあるでしょう。
唯一の正解なんてものはないのです。
何度も音読して違和感がないか確認するようにしましょう。
また、読点は本来、「文意を明確にする」役割をもっています。
たとえばこんな感じです。
「私は笑いながら電話をしている友達に声をかけた」
この文章を読んで、どちらが笑っているかわかりましたでしょうか?
おそらく、わかりにくいんじゃないかと思います。
このような文章では読者は混乱してしまいます。
それでは、さきほどの例文に読点を入れてみましょう。
「私は笑いながら、電話をしている友達に声をかけた」
→私が笑っている。
「私は、笑いながら電話をしている友達に声をかけた」
→友達が笑っている。
このように読点の位置が変わるだけで、文章の意味が異なってきます。
読点の役割は文意を明確にする、ということをご理解いただけたかと思います。
余談になりますが、以下のようにことばを入れ替えて文意を明確にする方法もあります。
「笑いながら電話をしている友達に、私は声をかけた」
→主語(私)と述語(声をかけた)を近づけることで文意が明確になる
読点は文意を明確にする役割もあり、文章のリズムにも影響することを知っておきましょう。
一方で、一文の長さについてはどうでしょうか。
仮に、読点を使えば一文が長くてもリズムはよくなるのでしょうか。
結論。
リズムはよくなりません。
ちなみにこんな感じです。
「この商品は誰でも手軽に操作できるところが特徴ですが、それだけではなくサイズが小さいことでカバンに入れてもかさばらず、持ち運びにも便利なのでちょっとしたお出かけの際や旅行時にとても重宝され、一度利用するとリピート間違いなしの、今売れに売れている人気のお買い得商品です」
ちょっと書き方が極端ですが、理解できなくはないけどだらだらとした文章で、読みづらいと感じたのではないでしょうか。
なぜなら文章には一文一意ということばがあるように、ひとつの文には内容をひとつだけにする、との考え方があるからです。
一文を短くする。さらにいうと「主語と述語の距離」を短くして意味を通りやすくする。
一文が長くなると、内容が理解しづらくなり、何度も読み返してしまうため、結果としてリズムがわるくなってしまいます。
一文は短く。
いろいろなところで言われていますが、文章を書くうえでの原則かと思います。
このように、句読点と一文の長さはリズムに大きく関係します。
読者が適度に息継ぎできるポイントを設け、一文を短くして理解を促すことで、リズムのいい文章が形作られます。
しかし、おそらくこれだけでリズムのいい文章になるかどうかが、決まるわけではなさそうです。
リズムのいい文章を決定づけるものは何なのでしょうか。
鍵を握るのは論理展開
鍵を握るのはスムーズな「論理展開」だと思っています。
流れるような論理。
リズムのいい文章にはスムーズな「論理展開」があります。
ざっくりいうと以下のような流れです。
わたしは〇〇についてこう思います。
なぜなら〇〇だからです。
実際には〇〇は〇〇であり、〇〇です。
だからこそ〇〇なのです。
書き手の主張があり、理由があり、主張と理由を支える事実(根拠)がある。
これが「論理展開」です。
文章は誰かに何かを伝える手段です。
そう考えると、読点の位置にも違和感がなく、一文が短くとも、スムーズな「論理展開」がなければ、読者に伝えたいことが伝わりにくくなります。
支離滅裂、迷走する展開、主張だけの文章を読んでも何も伝わらないし、心が動くことはないはずです。
書き手の主観(論)と客観(理)がふたつそろってこそ、読者に伝わるようになると思っています。
こうお話をすると、「じゃあ論理で固めれば、文章はもっとよくなるんだな」と思われるかもしれませんが、これがまたそんな簡単な話ではないんです。
なんだよそれ、って思いますよね。わたしもそう思います…
コンクリートみたいにガチガチな論理で固められた文章になると、理屈っぽいというか、説得されているような感覚に陥ります。
論理ということばにとらわれすぎず、論理の「展開」に意識を向けてみましょう。
読者がおもしろいと思えるたとえ話を駆使してみたり、思いもよらぬ展開にしてみたり。
なんとなく書き進めるのではなく、「展開」を意識しながら書くことで、おもしろい文章になっていくと思います。
音楽でも「ここでリズムや曲調が変わるのか」って驚いたりすることもありますよね。
1曲の中で何度も繰り返されてしまうと、それはそれで疲れちゃうこともあるのでバランスが大事にはなりますけどね。
リズム=論理展開
文章を書くときはこのことを意識するようにしてみてください。
ウェブサイト制作における原稿についても、文章術を知っているかいないかで大きく変わってくるので、原稿作成に自信がない方は制作会社の方に相談してみるのもいいかと思います。
おわり
いい文章のひとつの条件である「リズム」についてお話してきました。
結局のところ、文章も音楽と同じようにリズムが大事であることを、ご理解していただけたかと思います。
読んでいて気持ちいいとか心地いいとか、理解しやすいとか、展開がおもしろいとか。
リズミカルな文章を目指していきたいですね。
みなさんも自分なりにいい文章の正体を探してみてください。
わたしもウェブサイト制作において、お客さまのお力になれるよう文章力を高めていきたいと思います。